日本性科学会は臨床的な研究や診療を通じて性の健康の推進をはかる専門家の団体です。
日本性科学会の前身である日本セックス・カウンセラー・セラピスト協会は、1979年に設立され、セックスセラピーおよびセックスカウンセリングの研究および臨床技術の普及を目的に活動してきました。1995年には学会組織となり、名称も現在の日本性科学会となりました。活動内容も、セックスセラピーおよびセックスカウンセリングにとどまらず、セクシャリティ全般を対象とするものとなりました。昨今、社会的にも性科学への関心が増す中、性科学を専門とする当会の果たす役割は、ますます重いものになっていると感じていました。こうした状況に、対応する方法を検討した結果、当会を一般社団法人とすることにし、2023年10月に、一般社団法人日本性科学会として再出発となりました。法人として社会的責務を全うすべく、一層の努力をしていきたいと思います。
セクシュアリティは人間にとっての性のあらゆる面を包括する概念で、セクシュアル・ヘルス(性の健康)はこれに関する身体的、心理的、社会的に幸福(well-being)な状態をいいます。
セクシュアリティは人間にとって人格の本質的な要素の一つです。人間が健康に、幸福に生きていくにあたり、必要不可欠な事柄です。しかしながら、セクシュアリティは学問・研究・教育・政治などで真正面から扱われることが少なく、偏見、誤解、無理解などが広がりやすい分野でもあります。それゆえに、セクシュアリティの健康を推進したり、権利を擁護していくには、学問的、科学的な研究やエビデンスの蓄積が必要とされるのです。
セクシュアリティについての研究も、内外で急速に深化しています。セクシュアリティの基本とも言える性別の研究の結果、多様な性のあり方に光があたってきました。人間の性反応についても、人体のあらゆる構造・機能や精神活動が協調して性機能に関与することが分かっています。一方、人と人の関係はもちろん、社会・文化との係りもセクシュアリティにとって重要な要素です。
すなわち性科学の研究には基礎医学から、泌尿器科学、産婦人科学、内分泌学、精神医学等の医学、看護学、心理学、社会学、教育学などの多くの領域での研究と、それらの連携が必要です。本学会は、多様な領域の専門家から構成され、性科学の広範な領域に応える我が国で代表的な学際的研究団体です。
また学会や研究会では、専門分野や経験年数にとらわれず、自由活発な議論や交流が行われる開けた学会でもあります。現在は約300名の様々な領域の専門家が会員となっております。
学術集会・研修会・研究会の開催、学会誌・情報誌の発行などと同時に、セックス・カウンセラー、セックス・セラピストを認定し、その資格を授与しています。
皆様のご入会をお待ちしています。